[[index.html|一言芳談抄]] 巻之下 ====== 62 有云はく故寂願房云はく所労の時敬仙房談じ申して云はく・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[ndl_ichigon061|<>]] 有(あるひと)云はく、「故寂願房(じやくぐわんばう)云はく、『所労((病気))の時、敬仙房(きやうせんばう)談じ申して云はく、『在家の者の流鏑馬(やぶさめ)鳴らす時は、先々に儀式・作法を並べて習へども、まさしくその日に当たりて、すぐに射んとて、はたと馬を出だしつる上は、あひ構へて「射当てん」と思ふほかは他事なきなり。その定(ぢやう)に、日ごろは後世のこと、とかく好み習ひつれども、今すでに病床に臨みたり。他念(たねん)なく念仏して、往生せむと思ひ取り給ふべし』と候ひし也』」。 [[ndl_ichigon061|<>]] ===== 翻刻 ===== 有云故寂願房(しやくくはんはう)云。所労(しよらう)の時敬仙房(きやうせんばう)談申云。ざい家(け) のもののやぶさめならす時は。さきさきに儀式(ぎしき)作法(さほう)を ならべて。習(ならへ)ども。まさしく其(その)日にあたりて。すく に射んとて。はたと馬を出(いだ)しつるうへは。相構(あひかまへて)。射(い)あ てんと思ふ外(ほか)は。他事(たし)なき也。其定(そのさだめ)に日ごろは。後(ご) 世(せ)の事。とかくこのみ習(ならひ)つれども。いますでに。病床(びやうしやう) にのぞみたり。他念(たねん)なく念仏(ねんぶつ)して。往生(わうしやう)せむと 思ひ取(とり)給べしと候し也/ndl2-5r https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/2583391/1/5