[[index.html|一言芳談抄]] 巻之下 ====== 78 有云はく比叡の御社に偽りて巫の真似したるなま女房の・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[ndl_ichigon077|<>]] 有(あるひと)云はく、「比叡の御社((日吉大社))に、偽りて巫(かんなぎ)の真似したるなま女房の、十禅師(じふぜんじ)の御前(おんまへ)にて、夜うち深(ふ)けて、人しづまりて後、ていとうていとうと鼓(つづみ)を打ちて、心澄ましたる声にて、『とてもかくても候ふ。なうなう』と歌ひけり。その心を、人にしひ問はれて云はく、『生死無常(しやうじむじやう)のありさまを思ふに、この世のことは、とてもかくても候ふ。なう後世を助け給へ』と申すなり』云々」。 [[ndl_ichigon077|<>]] ===== 翻刻 ===== 有云比叡(ひえい)の御社(おんやしろ)にいつはりて。かんなぎのまねし たる。なま女房(にうばう)の十禅師(ぜんじ)の御前(おんまへ)にて夜(よ)うち 深(ふけ)て。人しづまりて後。ていとうていとうと。つづみを う地(ち)て。心すましたる声(こゑ)にて。とてもかくても 候。なうなうとうたひけり。其心を人にしゐ問(とは)れて 云(いはく)。生死無常(しやうじむじやう)の有様(ありさま)を思ふに。此世(よ)の事は。とて もかくても候なう後世(ごせ)をたすけたまへと申なり云々/ndl2-9r https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/2583391/1/9