[[index.html|一言芳談抄]] 巻之下 ====== 106 行仙房の云はくある人問ふて云はくわが身の無道心をかへりみて・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[ndl_ichigon105|<>]] 行仙房(ぎやうせんばう)の云はく、「ある人、問ふて云はく、『わが身の無道心(むだうしん)をかへりみて往生をうら思ふと、涯分(がいぶん)をかへりみず決定往生(けつぢやうわうじやう)と思ふと、いづれがよく候ふべき』。答へて云はく、『われ、昔、小蔵入道(をぐらにふだう)に謁(と)ひたりき。『往生は最初の一念に決定(けつぢやう)せり、報命(ほうめい)尽きざれば、依身(えしん)のいまだ消えざるばかりなり』と申されしが、殊縁(しゆゑん)の往生をとげられき。熊谷入道(くまがいにふだう)も、この定(ぢやう)に申されけるとなん承はりき』」。 [[ndl_ichigon105|<>]] ===== 翻刻 ===== 行仙房云(ぎやうせんばうのいはく)。或人(あるひと)問云(とふていはく)。我身(わがみ)の無道心(むだうしん)をかへり見て。往生(わうじやう) をうら思(おもふ)と。涯分(かいふん)を不顧(かへりみず)。決定往生(けつぢやうわうじやう)と思(おもふ)と。何(いつれ)がよく 候べき。答云(こたへていはく)。我(われ)むかし小蔵入道(せうざうにうだう)に謁(とい)たりき往生は最(さい) 初(しよ)の一念(ねん)に決定(けつぢやう)せり。報命(ほうめい)尽(つき)ざれば。依身(ゑしん)の未(いまだ)消(きへさる) ばかり也と。申されしが殊縁(しゆゑん)の往生を。とけられき 。熊谷入道(くまがへにうだう)も。此定(このさだめ)に被申(もうされ)けるとなん承(うけたまは)りき/ndl2-15r https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/2583391/1/15