[[index.html|一言芳談抄]] 巻之下
====== 137 ある人云はく遁世といふは深く人を厭ふべからず・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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ある人云はく、「遁世(とんせい)といふは、深く人を厭(いと)ふべからず。ただし、ゆゑなく人を恐るる、また僻因(ひがいん)なり。いま厭ふゆゑは、深く名利を厭ふゆゑなり。そもそも、また凡夫(ぼんぶ)の行人(ぎやうにん)は、独身(どくしん)にして難治(なんぢ)なるゆゑに、いたく名利をもよほさぬ同行一両人。、あひかまへて親しむべきか。それも多くならば、かたがた難あるべきなり」。
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===== 翻刻 =====
有(ある人)いはく。遁世(とんせい)といふは。ふかく人(じん)をいとふべからず。但(ただし)
ゆへなく。人をおそるる。又ひかいんなり。いまいとふゆへ
は。ふかく名利(みやうり)をいとふゆへなり。抑(そもそも)又凡夫(ぼんぶ)の行(ぎやう)
人(にん)は。独身(どくしん)にして。難治(なんぢ)なる故(ゆへ)に。いたく名利
をもよほさぬ。同行(どうぎやう)一両人(りやうにん)あひかまへて。したしむ/ndl2-21r
べき歟。それもおほくならば。かたかた難(なん)あ
るべきなり/ndl2-21l
https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/2583391/1/21