[[index.html|伊勢物語]]
====== 第33段 昔男津の国菟原の郡に通ひける女・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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昔、男、津の国菟原(むばら)の郡(こほり)に通ひける女、「このたび行(い)きては、または来じ」と思へる気色(けしき)なれば、男、
葦辺(あしべ)より満ち来る潮のいや増しに君に心を思ひ増すかな
返し、
こもり江に思ふ心をいかでかは舟さす棹(さを)のさして知るべき
田舎人のことにては、良しや、悪しや。
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===== 翻刻 =====
むかし男つのくにむはらのこほりにかよ
ひける女このたひいきては又はこじとお
もへるけしきなれはおとこ
あしへよりみちくるしほのいやましに/s45l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/45?ln=ja
きみにこころをおもひますかな
返し
こもり江に思ふこころをいかてかは
舟さすさほのさしてしるへき
ゐなか人のことにてはよしやあしや/s46r
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/46?ln=ja