[[index.html|醒睡笑]] 巻1 鈍副子
====== 18 二番にかまへられたる聟殿舅の方へ始めて行く・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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二番にかまへられたる聟殿、舅(しうと)の方へ始めて行く。似たる((底本「似」に「以か」と朱書で傍書。))を友の教へけるやう、「初対面(しよたいめん)に物を言はずは、うつけとこそ思ふべけれ。あひかまへ、何とぞ時宜(じぎ)をでかせよ」。「心得たり」とうけごひつるが、一言の挨拶となし。
すでに座を立たんとする時、聟殿が言ひ出すやう、「何と舅殿は一(ひと)かいほどある鴫(しぎ)を御覧じたことはおらないか」。「いや、見たることはおりない」。「私も見参らせぬ」と。
言はぬは言ふにまさるとやらん((この行、底本小書き。))。
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===== 翻刻 =====
一 二番にかまへられたる聟殿舅(しうと)のかたへ始て
行似(以か)たるを友のをしへけるやう初対面(しよたいめん)に
物をいはすはうつけとこそおもふへけれ相構(かまへ)/n1-55r
なにとそ時宜(しぎ)をてかせよ心得たりとうけ
こひつるが一言の挨拶(あいさつ)となしすてに座を
たたんとする時聟殿かいひ出すやうな
にと舅殿は一抱(かい)ほとある鴫を御らんした
事はおらないかいや見たる事はおりない私も
見まいらせぬといはぬはいふにまさるとやらん/n1-55l