[[index.html|醒睡笑]] 巻6 児の噂
====== 19 帥が児によりより口説きければ・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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帥(そち)((僧の呼び名))が(ちご)児に、よりより口説きければ、「ともいへかくもいへ、嫌なり。所詮(しよせん)昔そちが児でありしを、わが思ひかけたるに、なびかなんだゆゑ、今そちが言ふになびかぬならん。報ひのほどを思へ」とぞ。
是非なうて過ぐしつるも、ある時かの児、人なしとや思しけん、ちらと味噌をちと舐めたるを、帥が見付けて一首、
むかし味噌児をなめたるむくひにや今また児になめらるるみそ
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===== 翻刻 =====
一 帥が児によりよりくときけれはともいへかくも
いへいやなり所詮昔そちか児てありしを
わか思ひかけたるになびかなむたゆへ今そちか
いふになひかぬならんむくひの程をおもへとぞ是
非なうて過しつるもある時彼児人なしとや/n6-12r
おほしけんちらとみそをちとなめたるを帥か
見つけて一首むかし味噌児をなめたるむく
ひにや今又児になめらるるみそ/n6-12l