[[index.html|隆房集]]
====== 31 今さらに焼くとも何か惜しからむ常は思ひに燃ゆる身なれば ======
===== 校訂本文 =====
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かかる物思ひによりて、げにも堪へがたきけにや、わが身も影のやうになれば、惜しからぬ憂き身なれども、さすがに思ひ続くれば、「世にながらへてこそ、まれのひまをだに待ちみめ」と思ふ折は、命も惜しからずもなければ、医師(くすし)に言ひ合はせて焼かむとするが、さすがに恐しかりしかば、
今さらに焼くとも何か惜しからむ常は思ひに燃ゆる身なれば
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===== 翻刻 =====
かかるものおもひによりてけ
にもたえかたきけにやわか
身もかけのやうになれはおし
からぬうき身なれともさすかに
おもひつつくれはよになからへて
こそまれのひまをたにまち
みめとおもふおりはいのちもをし
からすもなけれはくすしにい
ひあはせてやかむとするかさすかに/s17l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100002834/17?ln=ja
おそろしかりしかは
いまさらにやくともなにかおしからむ
つねはおもひにもゆるみなれは/s18r
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100002834/18?ln=ja