平中物語
また、この男、大方なるものから、時々をかしきことは言ひけり。
それに、桜のいみじうおもしろきを折りて、男の言ひやる。
咲きて散る花と知れるを見るときは心のなほもあらずもあるかな
女、返し。
年ごとの花にわが身をなしてしか君が心やしばしとまると
れはものもいはてやみにけり又この男 おほかたなるものからときときおかしき ことはいひけりそれにさくらのいみしう おもしろきををりておとこのいひやる さきてちる花としれるをみるときは 心のなをもあらすもあるかな 女かへし/13ウ
としことのはなにわか身をなしてし かきみか心やしはしとまると/14オ