昔、男、色好みと知る知る、女をあひ言へりけり。されど憎くはたあらざりけり。
しばしは行(い)きけれど、なほいとうしろめたく、さりとて、行(い)かではたえあるまじかりけり。なほはたえあらざりける仲1)なりければ、二日三日(ふつかみか)ばかり障ることありて、え行(い)かで、かくなむ、
出でて来し跡だにいまだ変はらじを誰(た)が通ひ路と今はなるらん
もの疑はしさに詠めるなりけり。
昔おとこいろこのみとしるしる女を あひいへりけりされとにくくはたあらざ りけりしはしはいきけれとなをいとう しろめたくさりとていかてはたえあるま しかりけり猶はたえあらさりける中 なりけれはふつか三日はかりさはること ありてえいかてかくなむ いててこしあとたにいまたかはらしを たかかよひちといまはなるらん/s51l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/51?ln=ja
ものうたかはしさによめるなりけり/s52r