昔、女、人の心を恨みて、
風吹けばとはに波越す岩なれやわが衣手(ころもで)の乾く時なき
と、常のことぐさに言ひけるを、聞きおひける男、
宵ごとに蛙(かはづ)のあまた鳴く田には水こそまされ雨は降らねど
むかし女人の心をうらみて 風ふけはとはになみこす岩なれや わか衣手のかはくときなき/s116l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/116?ln=ja
とつねのことくさにいひけるをきき おひけるおとこ よゐことにかはつのあまたなく田には 水こそまされあめはふらねと/s117r