蒙求和歌
黄香扇枕 扇
黄香は孝子なり。夏の日の暑きには、母の枕をあふぎ、冬の嵐の冴ゆるには、母の床を暖めけるなり。
九歳にて、母におくれて、悲しび憂へければ、里人、来集ひて、助けあはれみけり。
あふぐべき人なき身こそ悲しけれ同じ枕に夏は来ぬれど
黄香扇枕 扇 黄香ハ孝子也夏ノ日ノアツキニハ母ノ枕ヲアフキ冬ノアラシノ サユルニハ母ノユカヲアタタメケルナリ九歳ニテ母ニヲクレテカナ シヒウレヘケレハサトヒトキツトイテタスケアハレミケリ アフクヘキ人ナキミコソカナシケレヲナシ枕ニナツハキヌレト/d1-19l