蒙求和歌
郝隆曬書 七夕
郝隆、文道にかしこくして、広く学び、深く悟れりし人なり。
七月七日に、七夕祭(たなばたまつり)に、世人(よひと)書(ふみ)をさらしけり。文章を得むがためなり。
時に郝隆は、庭に仰(あふ)ぎ臥して1)、腹をさらしけり。そのゆゑを問ひければ、「わが腹の内なる書(ふみ)を、七夕に貸すなり」とぞ答へけり。
七夕に身をぞ貸すべき心より他にはふみのあらばこそあらめ
郝隆曬書 七夕 郝隆文道ニカシコクシテヒロクマナヒフカクサトレリシ人也 七月七日ニタナハタマツリニヨ人フミヲサラシケリ文章ヲエムカ タメナリ時郝隆ハ庭ニアキフシテ腹ヲサラシケリ其故ヲ 問ヒケレハ我腹ノ内ナルフミヲタナハタニカスナリトソコタ エケリ タナハタニミヲソカスヘキ心ヨリホカニハフミノアラハコソアラメ/d1-21l