蒙求和歌
孫綽才冠
秦の孫綽、字(あざな)興公といふ。広く学びけり。才学聞こえ高き人なり。
天台の賦1)を作りて、友達に見せしむに、友達、讃めていはく、「なんぢ、こころみに地に投げよ。まさに金玉の声あるべし」と讃めけり。時の人、孫綽を「才冠なり」と言へりけり。
山高み雲の岩根をとめて落つる滝の白玉声響くなり
孫綽才冠 秦ノ孫綽字興公トイフヒロクマナヒケリ/才学キコヘタカキ人ナリ天台ノ賦ヲ ツクリテトモタチニミセシムニトモタチホメテ云クナムチ心ミニ 地ニナケヨマサニ金玉ノコエアルヘシトホメケリトキノ人 孫綽ヲ才冠ナリトイヘリケリ ヤマタカミ雲ノイハネヲトメテヲツルタキノシタラマコエヒヒクナリ/d2-44l