醒睡笑 巻2 躻(うつけ)
振舞ひの汁に、大きに見事なる笋(たけのこ)出でたり。人みな、「大竹にならんものを、むざと食ひ捨てんは惜しい1)など沙汰しければ、さるうつけ、「いや竹は大事もない。大木になり挽物(ひきもの)に使ふべき松茸(まつたけ)をさへ食ふほどに。
落ち行く川の末も知られず
笋は本(もと)より節のあらはれて
一 振舞の汁に大に見事なる笋出たり人みな 大竹にならんものをむさとくひすてんはおし いひなと沙汰しけれはさるうつけいや竹は 大事もない大木になりひき物につかふへき 松茸をさへくふほとに/n2-30r
落行河の末もしられす 笋は本よりふしのあらはれて/n2-30l