醒睡笑 巻8 頓作
さる大名の中間(ちうげん)に、異名を長棹(ながざを)といふ者あり。「いかなる心持ちにより、この名をば付けたるぞ」と人々さげすみけるに、一人の作意には、「ただ、物1)の直(すぐ)なといふことにてあらうず」と。また別人は、「ただ、物欲しさうな人2)てあらう」と。
後のが合うたげな3)。
一 さる大名の中間に異名(いみやう)を長棹(なかさほ)といふ者有 如何なる心もちにより此名をはつけたるそと 人々さげすみけるにひとりの作意(さくい)には唯物/n8-13r
のすぐなといふ事にてあらふすと又別人は 唯物ほしさうなんてあらふと 後のがあふたけな/n8-13l