四月、みあれの日1)、人の使にて、立ちながら逢ひたりしに、「今はこの世を思ひ捨てて、いかならむ野山の末にも、二人あらむ」など語らひし時、髪にかけたりし葵(あふひ)を取りて、「これは何ぞ」と問ひしことの忘れがたければ、
知るらめやせめてあふひのまれなれば名をさへたどる今日のかざしを2)
四月みあれのひ人のつかひにて たちなからあひたりしにい まはこのよをおもひすてていか ならむの山のすゑにもふたり あらむなとかたらひしときかみ にかけたりしあふひをとりて これはなにそととひしことの わすれかたけれは/s14l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100002834/14?ln=ja
しるらめやせめてあふひのまれなれは なをさへたとるけふのかたしを/s15r