目次

隆房集

89 いかにしていかにすべしと覚えぬはわれと君との仲にぞありける

校訂本文

<<PREV 『隆房集』TOP NEXT>>

「かくばかり堪へがたく覚ゆるならば、はかなき世に、とてもかくてもありなん」と思ひとりて、「いかならん所へもひき具して去(い)なむ」と思へども、「それも人聞きおびたたしかりぬべし。また、かくてもあるべき心地もせず。とにかくに、われを苦しむる君なりけり」とあぢきなく、

  いかにしていかにすべしと覚えぬはわれと君との仲にぞありける

<<PREV 『隆房集』TOP NEXT>>

翻刻

 かくはかりたへかたくおほ
 ゆるならははかなき世にとて
 もかくてもありなんとおもひ
 とりていかならん所へもひき
 くしていなむとおもへとも
 それも人ききおひたたしかりぬへし/s38r
 またかくてもあるへき心地
 もせすとにかくにわれをく
 るしむる君なりけりと
 あちきなく
いかにしていかにすへしとおほえぬは
われと君との中にそありける/s38l

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100002834/38?ln=ja