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隆房集

96 世を捨てて苔の衣を着たりともかくこそ濡れめ袖は涙に

校訂本文

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かく思ひつつ、この世をもあくがれて、いかならん山中に姿を変へて、かすかなる住まひしたりとも、これだに思ひ忘れずは、まことの道の妨げともならんことの心憂ければ、

  世を捨てて苔(こけ)の衣(ころも)を着たりともかくこそ濡れめ袖は涙に

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翻刻

 かくおもひつつこの世をも
 あくかれていかならん山中に
 すかたをかへてかすかなるす
 まひしたりともこれた
 におもひわすれすはまこ
 とのみちのさまたけとも
 ならんことのこころうけれは
世をすててこけのころもをきたりとも
かくこそぬれめ袖は涙に/s40l

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100002834/40?ln=ja