徒然草
世の人、あひ会ふ時、暫くも黙止することなし。必ず言葉あり。そのことを聞くに、多くは無益(むやく)の談なり。世間の浮説(ふせつ)、人の是非、自他のために、失多く得少なし。
これを語る時、互ひの心に、「無益のことなり」といふことを知らず。
世の人あひあふ時。暫も黙止する事 なし。必ず言葉あり。其事を聞に おほくは無益の談也。世間の浮説人の/w2-22l
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是非。自他のために。失おほく得すく なし。これをかたる時。たがひの心に無 益の事なりといふ事をしらず/w2-23r
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