大和物語
陽成院の典侍(すけ)の御(ご)、継父(ままちち)の少将のもとに、
春の野ははるけながらも忘れ草生ふるは見ゆるものにぞありける1)
少将、返り事、
春の野に生ひじとぞ思ふ忘れ草つらき心の種しなければ
陽成院のすけのこままちちの少将のもとに 春の野ははるけなからもわすれ くさつらき心のたねしなけれは 少将返事 春ののにをひしとそおもふわすれく さおふるはみゆるものにそありける/d13r