大和物語
平中1)、閑院の御(ご)に絶えてのち、ほど経て逢ひたりけり。
さて、のちに言ひおこせたりける。
うちとけて君は寝ぬらんわれはしも露のおきゐて恋ひに明かしつ
女、返事、
白露のおきふし誰を恋ひつらんわれは聞きおはず石(いそ)の神にて
平中閑院のこにたえてのちほとへてあひ たりけりさてのちにいひをこせたりける うちとけてきみはねぬらん我はしも つゆのおきゐてこひにあかしつ をんな返事/d46l
しらつゆのおきふしたれをこひ つらん我はききをはすいその神にて/d47r