大和物語
同じ右近1)、「桃園の宰相の君2)なん住み給ふ」など、言ひののしりければ、虚言(そらごと)なりければ、かの君に詠みて奉りける。
よし思へ海人(あま)の拾はぬうつせ貝むなしき名をば立つべしや君
となんありける。
おなし右近ももそののさいしやうの きみなんすみ給なといひののしりけ れはそらことなりけれはかのきみに よみてたてまつりける よしおもへあまのひろはぬうつせ かひむなしきなをはたつへしやきみ となんありける/d41l